永井孝尚著「売ってはいけない」を読みました。
本書は、
- 「100円のコーラを1000円で売る方法」の著者が、
- 2019年前後の事例を紹介しながら、
- マーケティングの知識(とくに、顧客との関係)について
- コンパクトに説明している本です。
そして、本書を読むべきなのは、
- 商品を増やして、
- 顧客を増やして、
- 売り上げをあげよう
と考えているすべてのひとです。
もちろん、会社を経営していくために、
基本的には上記の点を意識しなければなりません。
が、そういう場合だけとも限らない、という事例を
本書では扱っています。
へぇ~、こんな事例もあるんだ、
という気持ちになるのではないかと思います。
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さっそく目次から、面白かったところを抜粋しておきます。
第1章 無理に売るのをやめたら、儲かるようになった
- 第1話:自分で売らずに、お客に売ってもらう
- 第3話:売る以外で、儲ける
- 第4話:必要な数よりも、1個少なく売る
第2章 その売り方で、売ってはいけない
- 第5話:そのお客に、売ってはいけない
- 第7話:好調な会社には、売るな
第3章 お客を知らずに、売ってはいけない
- 第9話:「買う」理由は4段階で変化する
- 第12話:お客は減らせ
第4章 盛りすぎで、売ってはいけない
- 第13話:言葉や情報を盛ると、売れなくなる
- 第14話:このNGで、売ってはいけない
第5章 大市場に、売ってはいけない
- 第16話:商品開発するな。顧客開発せよ
- 第18話:売れ筋の真似では売れないが、真似でも勝てる方法もある
第6章 売れる価格で、売ってはいけない
- 第21話:「売れる価格」よりも「売る価格」
- 第23話:売ると失敗するサブスクリプションモデル
長めのあとがき
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出てくる事例は最近のもので、
経済ニュースをときどき見ていれば、
「ああ、あれね」という事例ばかりです。
「マーケティングの本」として紹介すると、
やや身がまえてしまうかもしれませんが、
結局、本書で紹介しようとしているのは、
「良い顧客と関係していくための方法」なのだと思います。
そして、とてもやさしい言葉で説明されていると思いました。
また、マーケティング本にありがちなテクニックですが、
前半のいくつかの章で、第23話(最終話)の内容を小出しにしておき、
最後まで読ませるという戦略をきちんと踏襲していました。
ちゃんと考えて本を作っているなぁ、という印象です。
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とはいえ、最近の事例だけでまとめてしまった点は、
本書の長所であると同時に、弱点でもあります。
これから何年後かに、本書を読むひとにとっては、
本書であげられた商品が、販売終了してしまっていれば、
「これ、何のこと?」となりかねないからです。
数年後に、本書を読み返す場合は、
「ああ、この商品を褒めてるけど、このあと2年ぐらいでダメになったんだよね」
みたいな読み方になるので、
ある意味、答え合わせみたいな読み方ができるのかもしれません。
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『売ってはいけない』というと、
本当かな? と思ってしまいますが、
本書は、読んでみると
「そんな事例もあるんだ!」と気づくことができ、
なかなか面白い本でした。
ぜひ、読んでみてください。
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