NHKスペシャル「食の起源」取材班著「理想の食事術」読みました。
本書は、もともとNHKスペシャル「食の起源」で取材した内容に、
NHK朝の情報番組「あさイチ」の内容を組み込んで書籍化したものです。
なので、著者はディレクターです。
- 兼子将敏さん
- 佐藤匠さん
- 松本祐介さん
- 近藤慶一さん
- 捧詠一さん
- 井上智広さん
が、巻末に執筆者として明記されています。
===
本書は5章構成となっており、
それぞれ1章ずつが放送回1回分となっています。
以下、面白かったところを目次から抜粋します。
第1章 「ご飯」は、人体の敵か味方か?
- 糖質は、本当に”健康の敵”なのか?
- 狩猟採集をしていた祖先の主食は、じつは肉ではなかった
- アミラーゼ遺伝子が多い日本人は、ご飯を食べても太りにくい
第2章「塩」がないと、なぜ物足りないのか?
- “無塩文化”から学ぶ最適な塩分量は、1日に1~3g!?
- 「減塩」が必要なワケは、「鍛えられない腎臓」をいたわるため
第3章「アブラが脳を育てる」ってホント?
- 「摂取カロリーの7割」をアブラでとっても、肥満や生活習慣病にならない人がいる
- 「オメガ3」をたっぷりとり続けて、人類は”高度な知性や文化”を手に入れた!?
第4章「お酒」を飲みすぎてしまうのは、なぜか?
- 人類の祖先が生き延びるために、「お酒が必要」だった!?
- なぜ日本人の約4割が「酒に弱い遺伝子タイプ」になったのか?
第5章 人はなぜ、「美食」を求め続けるのか?
- 「苦味」すら、おいしさと感じる!「美食」を生んだ人類の特殊能力
- 「おいしい」と感じるのは、舌ではなく「鼻」だった!?
- 「情報」が生み出す究極のおいしさとは
===
以下、いくつか気になったことを。
まず、「~~依存」「~~中毒」を使いすぎる気がしました。
「アルコール依存」は、一般的な表現として、まだ良いのですが、
「糖質依存」、「塩中毒」、「脂質依存」と、
各章で取り上げられるテーマはすべて依存対象になってしまっています。
テレビ的に、そういう持って生き方をした方が良いということかもしれません。
とはいえ安易に、
中毒とか依存だからしょうがない、
で説明を終わらせるのではなく、
もう少しそのメカニズムの部分にも
入り込んでほしかったなと思いました。
===
次に気になったことは、
取材費が潤沢だなぁ、ということです。
(お金、使いすぎじゃないかな、とさえ思います。)
たとえば、たったひとつのインタビューを取るために
アフリカの国まで行ってみたり。
NHK受信料を払っている身からすれば、
それって、現地行く必要あった?
とツッコミを入れたくなるくだりが、いくつかあります。
もしかしたら、NHKスペシャルのテレビ放送では、
本に載っていない内容があったのかもしれませんから、
本の内容だけで判断してはいけないのかもしれません。
===
先に気になったところを書きましたが、
全体的に見れば、調べられた内容が幅広いので、
一冊読んでおくと、お得な本だと思いました。
マサイ族が塩をほとんど取らない生活だったとか、
本書を読んで初めて知る知識も多く、
雑学的にも面白い部分がたくさん盛り込まれています。
科学的な知研だけでなく、考古学や地理学など、
さまざまな知識が得られる本なので、ぜひ読んでみてください。
かじとじむ のオススメ記事: