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坂爪真吾著「「許せない」がやめられない」を読みました。
本書は、
- 東大上野千鶴子研卒業後、ホワイトハンズという法人を経営している著者が、
- ここ数年のツイッター炎上事件を中心に、
- 「怒り」依存症ともいえる状況についてまとめた本です。
著者の経営するホワイトハンズはこちらからどうぞ。
https://white-hands.jp/about/
「性の公共をつくる」ことを目標とする法人のようです。
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本書の冒頭は、かなり衝撃的なので、少し引用します。
あなたは、最も手軽に入手できる「麻薬」を知っているだろうか。 その「麻薬」は、ポケットの中のスマホを開くだけで、24時間365日、いつでも好きな時に使用することができる。年齢制限もなければ、法外な購入費用も掛からない。所持や使用によって逮捕される恐れもない。常用していても、誰にも気づかれることはない。(p.6)
なんとも怖い文章ですが、この現代的な麻薬の正体は、「怒り」です。
スマホを開けば、画面の向こうには、許せない事件、許せない人物、許せない発言、許せない広告が溢れかえっており、24時間365日、いつでも好きなだけ、怒りを摂取することができる。(p.6)
常に、スマホを開けば「怒り」をぶつける対象がいて、
怒ることを辞められなくなってしまう。
まさに依存状態です。
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怒りの依存状態になったひとに特徴的なのは、怒りの風化を恐れるということです。
だから、常に新しい怒りを探しに行かなければいけません。
すると、自分が当事者ではない怒りに対しても、代わりに怒るということが発生してしまいます。
つまり、お前の怒りはオレのもの、オレの怒りもオレのもの。
まさにジャイアンみたいなことになっているわけです。
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本書を読む前は、
いやいや、怒り依存症なんて大げさなんじゃないか、
と思っていましたが、
実際に本書の事例を探しにいくと、たしかにたくさん出てきます。
ツイッターは広くて狭いものです。
そして怒りをぶつけられた側は、
ツイッターアカウントを消したり、
本業を自粛したり、
ひどい場合には自殺にいたることもあります。
大変怖い状況です。
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目次は以下の通りです。
序章 「怒りの万引き」がやめられない
第1章 女が許せない
第2章 男が許せない
第3章 LGBTが許せない
第4章 性表現(規制)が許せない
第5章 ジェンダー依存がやめられない
ここからも分かる通り、ジェンダーや性的マイノリティの問題が取り上げられています。
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本書には、自己チェックもあります。
以下の1つでも当てはまったら、ちょっと気をつけた方が良いようです。
- 「無自覚」という言葉を使って、他者を非難する投稿をしたことがある
- 他人のツイートのスクリーンショットを投稿した(拡散させた)ことがある
- Togetterでツイートをまとめた(あるいはまとめられた)ことがある
- クソリプへの反論がやめられない
- 嘘をついたことがある(虚言やデマの投稿をしたことがある)
(p.260)
とりあえず、わたしはセーフでした。
が、こういう行動をとっているひとを見かけたら、
ちょっと気をつけた方が良いと思いました。
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クソリプにからまれたらどうするか、についても本書は役に立ちます。
本書によれば、クソリプとは「たとえるならばスズメバチのようなもの」(p.90)です。
スズメバチに出会ったとき、
騒いだりしてスズメバチを興奮させてしまうと、
さらに攻撃されてしまいます。
正しい対処法は、「その場でしゃがむ」「静かにその場を立ち去る」だそうです。
クソリプへの対処法もこれと同じです。
「一切反応しない」
「静かにその話題から離れる」
とりあえず、このことを覚えておいた方が良いと思いました。
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本書は、ホラー小説を読むような怖さがありますが、
とはいえ、現実に怒っていることです。
ツイッターなどのSNSをやるなら、
読んでおいた方が良いと思いました。
これからツイッターを始める方、
ツイッター上の炎上がどうして起こるのか不思議に思っている方、
ツイッターで変に炎上してしまって困っている方、
などなど、多くの方に読んでみてほしいです。
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