曽野綾子著「身辺整理、わたしのやり方」を読みました。
本書は、曽野さんがこれまでに書かれた本から、
整理に関する部分を1ページから3ページ程度抜き出して
1冊にまとめた本です。
なので、これまで曽野さんの本を読んでこられた方には
特に必要ない本だと思います。
一方、わたしのような、曽野さんの本を初めて読む、という場合には、
スラスラ読めました。
入門書としては、とても良い本ではないかと思います。
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曽野さんは、文学者ですが、近年はエッセイを書かれる方という印象でした。
先日読んだ森博嗣さんが、曽野さんの本を勧めていたので読んでみました。
たとえば、「捨てる」ことは大切という小見出しで、
人生で「捨てる」ことと「遠ざかる」ことは、ほんとうに大切なのである。ことに嫌いな人、嫌われた人(自分は好きでも)から、自然に遠ざかることができれば、それは恨みではなく、爽やかな思い出に変わる。
というような文章がつづられます(49ページ)。
これは、もともとは「私日記7 飛んで行く時間は幸福の印」という本からの一節ですが、
このような気づきや感動が、10章にわたって展開されていきます。
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10章のタイトルは、以下の通りです。
第1章 ものは必要な量だけあることが美しい
第2章 身辺を整理して軽やかに暮らす
第3章 服は持たない
第4章 人間関係の店仕舞いをする
第5章 食べ物は使い切り食器は使い込む
第6章 家族を介護し、始末する
第7章 お金はきれいに使い尽くす
第8章 人はそれぞれの病気とつき合い生きる
第9章 死ぬときは野垂れ死にを覚悟する
第10章 人生の優先順位を決める
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目次からも分かる通り、
- 整理
- 片づけ
だけでなく、
- 老い
- 死
- 病
- お金
- 人間関係
- 生き方
というような、横断的な内容が書かれています。
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本書は、片づけや整理のノウハウではない、と思います。
つまり、1度読んですぐに使える、というような
インスタントなものではないということです。
ときどき、ふと読み返して、考え直すための本です。
曽野さんの文章は、何度も読み返されることに耐えうる文章だと思います。
本棚に置いておいて、 日々の生活が忙しいなと思ったとき、
少しだけ時間を取って、読み返すような、そんな本だと思います。
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