産経新聞取材班著「ブランドはなぜ墜ちたか」と、
重松清著「ニワトリは一度だけ飛べる」を読みました。
前者は、2000年の雪印集団食中毒事件を含むノンフィクションであり、
後者は、2001年の雪印牛肉偽装事件が参考にされたらしいフィクションです。
わたしはこの当時、まだ学生だったので、
なんとなくニュースでやっていた記憶しかありませんでした。
しかし、たしかにこの事件以降、雪印製品を見なくなったのは覚えています。
今回、これらを読んでみて、当時いろいろあったんだろうなぁ、
ということは何となく分かりました。
分かった気になっているだけかもしれませんが。
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まず、「ブランドはなぜ」の方から。
本書は、雪印だけでなく、そごう、三菱自動車という、
2000年前後で不祥事や倒産などに至った企業を取り上げています。
雪印は、本書の第1章にあたります。
新聞記者らしく、被害者や関係筋などへのインタビューが豊富で、
持って回った言い回しはあるものの、読みやすいのではないかと思いました。
雪印製品で、3回立て続けに食中毒になったという人もいたりして、
被害にあった方には悪いんですが、ちょっと笑ってしまいました。
事件じたいは、wikipediaなどに書かれているとおりですが、
ざっくりいうと、「私は寝てないんだ!」ということです。
いろんなことが後手後手になって、
まるで今の東京オリンピックのような状況です。
このときの後処理をした人たち、みんな大変だっただろうなぁ・・・。
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次に、「ニワトリ」について。
こちらは、小説です。
ご都合主義のような気がしなくもありませんが、
最後はスカッとする話なので、読んでいて楽しいとは思います。
基本的には、食肉偽装の話が前面に出るものではなくて、
社内の人事的な戦いの道具として、その問題が触れられます。
あまり言うとネタバレになってしまいますが、
最後の記者会見で、悪い奴らの音声が流されるところで、
スカッとするひとは多いんでしょうねぇ。
というか、ここでスカッとさせるために、
わざわざ前半の、ヤな雰囲気が書かれているのかもしれません。
まあ小説なので、勧善懲悪にしないといけないのでしょう。
主人公たちは、それぞれ別々の道を進むわけですが、
奈良にある石上神宮に集まったところで大団円です。
この神宮には、一度行ってみたいと思いました。
参考URL:
http://www.isonokami.jp/
(httpsではないので、お使いのブラウザによってはエラーが出るかもしれません。)
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どちらの本も、雪印の事件をきっかけにして、
働くことについて考えさせられる本だと思います。
とりあえずスカッとしたいひとは、「ニワトリ」を、
組織のうまく回らなさを事例として知りたいひとは「ブランドはなぜ」を、
それぞれ読んでみると良いのではないかと思いました。
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