【読書】 ネットのセキュリティ技術はこんななってるよ

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結城浩著「暗号技術入門 第3版」を読みました。

暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス
結城 浩
SBクリエイティブ
2015-09-17


本書は、

  • 「数学ガール」などの作者として有名な著者が、
  • 暗号技術や、それを利用した認証やセキュリティについて、
  • その理屈と全体像を、バランスよく教えてくれる本です。

本書の最終章には、ビットコインの仕組みについても触れられているので、
どんな技術が仮想通貨(暗号資産ともいわれます)に使われているのか、
知るには良いと思います。

※とはいえ、背景にある技術がすごいからといって、
仮想通貨を使ったギャンブルがすごいとは限りません。
この点は要注意です。

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目次から抜粋して、本書の内容をざっくりまとめます。

第I部 暗号
第1章 暗号の世界ひとめぐり

  • 対称暗号と公開鍵暗号
  • 暗号とセキュリティの常識

第2章 歴史上の暗号

  • シーザー暗号
  • 単一換字暗号
  • エニグマ

第3章 対称暗号(共通鍵暗号)

  • 使い捨てパッド
  • DES
  • トリプルDES
  • AESの選定プロセス
  • Rijndael

第4章 ブロック暗号のモード

第5章 公開鍵暗号

  • 鍵配送問題
  • RSA

第6章 ハイブリッド暗号システム

  • 強いハイブリッド暗号システムとは

第II部 認証
第7章 一方向ハッシュ関数

  • 一方向ハッシュ関数の応用例
  • Keccak

第8章 メッセージ認証コード

  • メッセージ認証コードの利用例
  • HMACの詳細

第9章 デジタル署名

  • デジタル署名の方法
  • RSAによるデジタル署名

第10章 証明書

  • 証明書を作ってみよう
  • 公開鍵基盤(PKI)

第III部 鍵・乱数・応用技術
第11章 鍵

  • さまざまな鍵
  • 鍵を管理する
  • Deffie-Hellman鍵交換
  • パスワードを元にした暗号(RBE)

第12章 乱数

  • 疑似乱数生成器

第13章 PGP

  • デジタル署名の作成と検証
  • 信頼の網

第14章 SSL/TLS

  • SSL/TLSを使った通信

第15章 暗号技術と現実社会

  • 仮想通貨ビットコイン
  • 暗号技術が完全になっても、人間は不完全

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著者は、数学ガールを書いたひとなので、かなり分かりやすいです。

アナログ時計の文字盤を使って、mod(商の余り)が解説されたりします。

しかし、最終的な到達点は、暗号技術の複合(信頼の網)の説明なので、
そこに至る技術ひとつひとつの、メリットとデメリットを
きれいに説明してくれます。

特に、セキュリティについての章は、
ネット銀行やネット証券のパスワードを、もう一度見直さないとヤバい、
と思わせるような内容になっていたので、
暗号技術そのものに興味がなくても、
読んでいてためになるのではないでしょうか。

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本書(p15)によれば、

  • 秘密の暗号アルゴリズムを使うな
  • 弱い暗号は暗号化しないよりも危険である
  • どんな暗号もいつかは解読される
  • 暗号はセキュリティのほんの一部である

ということが語られます。

読む前には、何のことだか分からないかもしれません。
しかし、本書を読み終えるころには、
確かにその通りだ!!
と納得できるでしょう。

それくらい、一般常識と、暗号技術の常識がかけ離れています。

インターネットは、もはや生活に不可欠なものになっていますから、
安全に利用するため、最小限の理解はしておいた方が良いと思いました。

そのセキュリティに関する入門書としては、
本書は最適ではないかと思います。

ぜひ読んでみてください。

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