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宮原徹ほか著「オープンソースの教科書」を読みました。
本書は、
- オープンソースカンファレンス(OSC)の発起人である著者が、
- Linuxを中心にオープンソースの概要や歴史を解説しつつ、
- オープンソースのよくある疑問に答えようとする本です。
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ちなみに、オープンソースについては、
下記のようなサイトも役に立つかもしれません。
https://cruel.org/freeware/hacker.html
が、このようなネット情報は、
書籍の書き方に比べて、やや専門的であり、
内容も凝縮されています。
なので、もしこの分野に詳しくない場合は、
まずは本書のような書籍から学んで、
あとからネット情報をあさるという手順が
効率的ではないかと思います。
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「はじめに」に書かれていることですが、
本書は、初学者のために、
「まずはわかる」ということが重視されて書かれています。
著者がLinux出身のひとなので、
内容としてはLinuxの説明が多めではありますが、
おおむね網羅的に書かれている印象です。
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目次は以下の通りです。
- オープンソースソフトウェアとは何か
- オープンソースを使ってみる
- オープンソースとコミュニティ
- オープンソース開発に参加してみる
- オープンソースとビジネス
- オープンソースの歴史
- オープンソースとライセンス
- さまざまなオープンソースの実例
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とくに6章の「歴史」で、ある程度系統立てて書かれているのが良かったです。
全体像が分かりやすくなって、
わたしのようなプログラミングにちょっと興味がある程度の一般人には、
読みやすいものになっていました。
また第7章では、(この部分は姉崎章博さん執筆)、
いまいちわかりづらいMITライセンスなどのライセンスについて、
その意味や、著作権上のポイントがまとめられています。
このあたりの記述は、業務でやっている方でも勘違いしがちなポイントらしいので、
特に念押しの記述が目立ちました。
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また、オープンソースの意外な役割も知りました。
たとえば、Code for Japanのはたらきについてです。
コロナ初期のころ、一躍有名になったサイト、
「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」もまた、
オープンソースによる取り組みだったそうです。
こういった行政との協働を、「シビックテック」と言うそうで、
公共的なはたらきにも影響力を持っていることが分かります。
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本書を読むまでは、プログラミングは、
- いわゆるIT企業ではたらくひとたちがゴリゴリやるものか、
- もしくは、PCさえあれば始められる趣味
ぐらいのイメージでした。
しかし、これらの間にはもっといろんなパターンがあって、
オープンソースによる様々な試行錯誤があったのだと分かりました。
オープンソースについて、おおむね網羅的に、
そしてコンパクトにまとまった本だと思いますので、
もし気になった方は、ぜひ読んでみてください。