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筒井康隆著「誰にも分かるハイデガー」を読みました。
本書は、
- 「文学部唯野教授」という小説を書いた著者が、
- 心労がたたって入院を機にハイデガーを読み、
- その解釈を分かりやすく講演したものです。
もともとは講演録だったものを、書籍化した内容です。
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そもそも、どうして本書に巡り合ったかというと、
少し前に、オープンレター事件というのがあり、
大学の主に文学部の教授たちがツイッターで罵り合いをしており、
そこで「文学部唯野教授」という小説が面白い、
ということを知ったからでした。
「文学部唯野教授」というのは、筒井康隆さんの主著のひとつで、
あらすじだけ簡単にいうと、
教授になったばかりの唯野が、
自分の大学や、他の大学での学内政治に奔走したり、
隠れて小説を執筆したり、女子大生に恋をしたり、
助教とか准教授のポスト争いに巻き込まれるような話です。
各章は、前半がストーリーで、後半は唯野による面白授業という構成です。
後半を読むだけでも、文学批評の入門になるという、
1冊で2度おいしい本です。
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さて、この文学部唯野教授を書いたあと、著者の筒井さんは入院します。
その病室でハイデガーの「存在と時間」を読むことになります。
本書は、筒井康隆さんによる、ハイデガー入門になっています。
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このハイデガーという人ですが、
ドイツの哲学者で、第1次世界大戦後に「存在と時間」という本を書いて、
一躍有名になったひとです。
國分功一朗さんの「暇と退屈の倫理学(新潮文庫)(amazon)」でも紹介されていますが、
まあ、「真面目に生きるとはどういうことか」を書いた人、というイメージでした。
「5チャンネルや、まとめサイトばかり読んでいて良いのだろうか」とか、
「SNSを見ながら寝落ちするような生活で良いのだろうか」とか、
「自分の人生を、真面目に生きたい」
…みたいなことで悩んでいるひとは、
とりあえず、ハイデガーを読んでみると良いかもしれません。
しかし、いきなり「存在と時間」を読んではいけません。
変な言葉づかいで書かれており、難しいからです。
なので、ハイデガーの1冊目としては、
本書「誰にもわかるハイデガー」が最もおすすめです。
(なお2冊目は、さきほど紹介した國分さんの本か、
木田元さんの「ハイデガーの思想 (岩波新書)(amazon)」が分かりやすかったです)
ぜひ読んでみてください。