グレッグ・マキューン著「エフォートレス思考」を読みました。
「エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する ( amazon link ) 」
本書は、同じ著者の「エッセンシャル思考」の続編です。
もし未読の場合は、先にこちらを読んでおくと良いかもしれません。
基本的には、前著と同じ路線の本です。
仕事ができる人には、さまざまな仕事が集まってきます。
それらをどのように切り抜けるかを考えるための本です。
エッセンシャル思考は、「何を」やるかを教えてくれた。
エフォートレス思考は、「どのように」やるかを極める技術だ。
(「エフォートレス思考」p.25)
本書では、やるべきでないことを排して、やるべきことに集中するため、どのようにやるべきかを、3つのステップで解説してくれます。
ざっくり言えば、
- 最初に、精神(マインドセット)を理解し、
- 次に、具体的な行動内容へ落とし込み、
- 最後に、それを習慣化する、というステップです。
以下、目次から抜粋します。
- エフォートレスな精神
- 転回:頑張れば成果が出るとはかぎらない
- 遊び:「我慢」を「楽しい」に変える
- 解放:頭の中の不用品を手放す
- 休息:「休み」で脳をリセットする
- 集中:今、この瞬間にフォーカスする
- エフォートレスな行動
- 目標:ゴールを明確にイメージする
- 発動:はじめの一歩を身軽に踏みだす
- 削減:手順を限界まで減らす
- 前進:よい失敗を積み重ねる
- 上限:早く着くために、ゆっくり進む
- エフォートレスのしくみ化
- 学習:一生モノの知識を身につける
- 強化:いちばんシンプルに伝える
- 自動化:勝手に回る「しくみ」をつくる
- 信頼:不信のコストを削減する
- 予防:問題が起こる前に解決する
本書では、こんまりメソッドに触れられていました。
儀式は行動に意味を与える。近藤麻理恵の片づけの魔法を思い出してほしい。
世界中で大人気のこんまりメソッドは、単に不用品を捨てる行動とは一線を画している。近藤の片付けは儀式だ。(中略)
こんまりメソッドが「人生を変える」のは、(中略)片づけの儀式そのものが、あなたの人生の大事な一部になるからだ
(「エフォートレス思考」 p.75)
著者は、この「儀式」を大事にしていて、儀式化することで行動のハードルを下げ、それによりエフォートレスに行動が始められると考えられているようです。
ただし、このようなこんまりメソッドに全面的に賛同しているわけでもありません。
近藤麻理恵の片づけの魔法は、世界中の人々をインスパイアした。(中略)
ただし、いざ実行しようとして、挫折したという話も聞く。なぜならこんまりメソッドは「一気に、短期に、完璧に」やる必要があるからだ。(中略)
それよりも簡単なやり方がある。「ぼくたちに、もうモノは必要ない」の著者である佐々木典士は、最初の一歩を「今すぐ捨てる」ことと定義する。
(「エフォートレス思考」 pp.147-8)
結局は、ケースバイケースでしかないのかもしれませんが、とにかく努力を減らすための方法論として、使えるものは何でも紹介されている、という印象でした。
本書だけでなく、前著にも共通する話なのでしょうけれど、著者はずっと、トレードオフの話をしているのだろうと思います。
最終的な成果物をねん出するために、やるべきでないことを排したり、やるべきことをやりやすくするための方法を収集して、分かりやすく提示してくれるのが、本書(及び前著)の役割なのかなと思いました。