キャロル・S・ドゥエック著「マインドセット」を読みました。
本書は、
- しなやかなマインドセット と、
- 硬直マインドセット(カチコチのマインドセット)の、
2つを比較しながら、
しなやかなマインドセットの良さを語り、
できれば自分自身をそれに近づけていくことを目的としています。
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そもそも、マインドセットって、何?
という話なんですが、
本書を読むかぎり、「心構え」とか、「気持ちの整理の仕方」みたいな意味だと思います。
本書冒頭では、「心のあり方」とも書かれています。
著者はアメリカの心理学者であるため、
心理的な認知(事実をどうとらえるか)について考えるときに役立ちそうです。
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では、しなやかなマインドセットと、硬直したマインドセットの違いは何なのか?
しなやかなマインドセットは、Growth Mindsetの訳語であり、
直訳すれば、「成長志向の心構え」です。
一方、硬直したマインドセットは、Fixed Mindsetの訳語で、
こちらも直訳すると、「いつまでも変われない心構え」です。
以前、森博嗣さんの本に「なにものにもこだわらない」という本がありましたが、
この感覚に近いのではないかなと思いました。
つまり、過去の栄光とか、自分の才能とか、小さいミスとか、
そういったことにこだわらず、常に成長するという気持ちを大事にするということです。
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目次から、本書の内容をざっくりまとめておきます。
第1章 マインドセットとは何か
第2章 マインドセットでここまで違う
第3章 能力と実績のウソホント
第4章 スポーツ:チャンピオンのマインドセット
第5章 ビジネス:マインドセットとリーダーシップ
第6章 つきあい:対人関係のマインドセット
第7章 教育:マインドセットを培う
第8章 マインドセットをしなやかにしよう
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目次を見ても分かる通り、
スポーツ、ビジネス、対人関係、教育について1章ずつ割かれており、
それぞれ心理的な事例や実験などが紹介されていきます。
とはいえ、いわゆる学術的な本というわけではありません。
本書冒頭では、心理学で良くある「生まれか?育ちか?」の議論が展開されます。
つまり、頭の良い子や、スポーツ選手のトップアスリートなどは、
生まれながらに遺伝的な才能があったのか、
それとも育った環境が良かったからなのか、
という議論です。
もちろん、この対比は、
生まれながらに運命は固定的だと考えれば、硬直したマインドセットになりがちで、
環境によっていくらでも買えられると思えば、しなやかなマインドセットになりがちではあります。
とはいえ、著者はこの問題について答えを出しません。
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では、著者はどんな考え方をしているかというと、
本書のp12に書かれています。
学問上の論争は、専門家に任せておけばよい。けれども、この2つの説を自分に当てはめるとどうなるか、ということだけはよく理解しておこう。20年にわたる私の研究からわかったことだが、どちらの説を信じるかによって、その後の人生に大きな開きが出てくる。
そして、マインドセットは心の問題ですから、
「しなやか」側に固定されている人もいなければ、
「硬直」側に固定されている人もいないわけです。
まさに、気の持ちよう次第で、マインドセットは変えられるわけです。
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本書をぜひ読んでほしいのは、
「もう自分の人生はダメだ、終わりだ」
と感じてしまった人、そういう環境におちいった人です。
「負け組」や「上級国民はいいよな」などと考える人にも、
ぜひ読んでみてもらいたいです。
もちろん、現実には差別も区別もありますが、
とりあえず心構えの部分だけでも、
本書のようにしなやかであれたら良いなと思います。
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