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宮口幸治著「どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2」を読みました。
本書は、
- 少年院で精神科医として働いたことのある社会学部の教授が、
- 少年院の子どもやその保護者、その他の事例をあげながら
- 「頑張れない人こそ、支援しなければならない」と訴える
本です。
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「頑張る」にも、いくつかの段階があります。
- 頑張る能力があって、頑張れる環境にあって、頑張っている(問題ない)
- 頑張る能力があるし、頑張れる環境にあるのに、頑張ってない(頑張れ!)
- 頑張る能力はあるが、頑張れる環境になく、頑張っていない(きっかけの支援が必要)
- 頑張る能力がなくて、頑張っていない(継続的な支援が必要)
ほとんどのひとは、1か2だと思います。
日によって、1の日と、2の日があって、
2の日は、自分で気合いを入れることもあるかもしれません。
また、3の人も一定数います。
しかしながら、頑張る能力はあるので、
頑張るきっかけさえ支援されれば、
また頑張ることができます。
(なお、本書では、3の人に
安易に「頑張らなくていいよ」とは言ってはいけない
とも主張されています)
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しかしながら、
一番の問題は、4のひとです。
頑張る能力がないので、支援者が、いくら支援しても
頑張ることができません。
支援しても、支援しても、頑張ってくれないわけです。
そうすると、だんだんと支援してくれるひとが、いなくなっていきます。
そもそも、認知機能が弱く、
自分が頑張るべきだと思えないこともあります。
あるいは、
支援してくれるひとにも逃げられて、
それなのに頑張れない自分に嫌気がさして、
支援してほしいとも思わなくなることもあります。
まさに悪循環です。
本書では、4番のような人にこそ、支援が必要だし、
その支援の方法は、3番のひととは違う方法でなければならない
と主張します。
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とはいえ、1と2が流動的だったように、
2と3、3と4も、実は流動的なわけです。
ひとは、場合によっては、
頑張れる環境にいられなくなることもあります。
また、体や心のコンディションによって、
頑張る能力がなくなっているときもあるでしょう。
本当は、頑張る能力があるのに、
これまで愛情を受けてこなかったがために、非行を繰り返し、
一見、頑張る能力がないかのように扱われているひともいます。
他人が、1、2、3、4を判断することは、きわめて難しいわけです。
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と、本書の内容としては、そのようなグラデーション的な状況にあって、
どのように支援をしていくべきかが語られるわけです。
が、
わたしとしては、ちょっと別の読み方をしました。
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わたしは、自分の心の中にも、
「頑張れない気持ち」があるような気がします。
自分の中に、4の部分があるとき、
どうやって自分自身に、継続的な支援をしたら良いのか、
考えさせられました。
そして、その支援の方法とは、「手帳術」であるように思いました。
どうしてそのように考えたのか?
以下、わたしなりの読み方を説明してみたいと思います。
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本書では、「頑張りたい」というやる気が、
どういう仕組みになっているかについて
書かれた章があります。(第5章)
詳しいことは本書で読んでいただきたいのですが、
ざっくり言うと、
- 準備
- 意志
- 能力
が必要だとする「動機づけ面接法」という本を引用しつつ、
さらに、
- 見通し
- 目的
- 使命感
を重要視します。
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この「見通し」とは、スケジュールに関わる部分です。
きちんとした「見通し」の策定こそが重要で、
別の言い方をすれば、
現実的な計画を立てることができるかどうかです。
これはまさに、手帳の役割です。
また、GMOの熊谷さんによる「夢手帳」などのように、
目的や使命感までカバーしようとする手帳もあります。
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さらに本書を読み進めると、
これらの方法には手順があって、
- 安心できる土台
- 伴走者
- チャレンジできる環境
が必要になります。
これらの機能もまた、
疑似的に手帳を利用することが可能なのではないかと思いました。
もちろん、ここまでくると本書の主張とは違う内容になるわけですが、
(だからこそ、「疑似的な」機能にとどまるわけですが)
わたしとしては、なかなか面白いアイディアのように思いました。
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本書は、支援の必要性について書かれた本であり、
その通り読むだけでも十分に面白いと思います。
と同時に、
疑似的な手帳術の本としても読めると思いますので、
普通の手帳術の本に飽きた方にも、
あわせてお勧めしたいです。
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