ひきたよしあき著「博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本」を読みました。
電車などで読むには、ちょっと恥ずかしいタイトルですが、著者がOKしているのですから、これで良いのだと思います。
最近は、こういうタイトルの方が、売れるのかもしれません。
広告会社出身の著者は、マスコミで働きたい学生向けに塾をやっています。
本書は、その塾の教材をもとに、作成したものです。
ですが本書は、マスコミ志望の学生だけでなく、一般企業に勤めるひとにも、役に立つ内容になっていると思います。
特に、
- 社内でのコミュニケーションが面倒くさい
- さいきん、直属の部下ができたけど、何もしゃべることがない
- 上司に説明するとき、分かってもらえないことが多い
といったひとにとっては、役に立つでしょう。
本書は、5章で構成されていて、それぞれが小説のようにストーリーがあります。
主人公は、理系出身の「山崎くん」です。
メンターの「和田先生」、ヒロインの「版田さん」などとともに、 企業の企画部で、少しずつ成長していきます。
1章読み終わったら、そこで学んだことを実践して、実践が終わったら、また次の1章を読む、というように、少しずつ、読み進めていくのがお勧めです。
本書で、特に気に入ったところを、目次からまとめてみます。
第1章:頭の中にあるものを知る
- 30秒で、モノの名前を10個言ってみよう
- 形容詞をいったん自分の中から消そう
- 電車の外の風景を、そのまま実況中継しよう
第2章:考える習慣をつける
- 「人の頭で考える」クセをつけよう
- 「〇〇しばり」で要点を明確にして、頭の中を整理しよう
第3章:論理的に発送する力をつける
- 物事の真意を知るために、「なぜ」を5回投げかけよう
- ゴールから考えて、見えていないところを明らかにしよう
第4章:真に伝わる表現力を磨く
- 書くときも話すときも、40文字を意識しよう
- 「動かしたい動き」を具体的にたくさん入れてみよう
- 主語を「わたしたち」にして、相手の気持ちを引き込もう
第5章:言葉に説得力を持たせる
- 「あいまいな形容詞に変わる数字」、「へぇ~という声が出る数字」だけを使おう
- 「ありがとう」をいまの5倍使うようにしよう
特に、第1章で紹介されている、30秒で10個、ものの名前を言ってみるトレーニングは、役に立ちました。
これは、たとえば、「30秒で、図形の名前を10個、声に出して言う」というトレーニングです。
平面の図形であれば、正三角形、二等辺三角形、平行四辺形、正円・・・など、10個言っていきます。
もちろん、正三角形、正方形、正五角形、正六角形・・・と続けていけば、無限に言えますから、難易度の加減は必要です。
じぶんでちょうど良いルールをもうけて、楽しいけど難しいゲームにしてみてください。
他にも、
- 花の名前
- ヨーロッパの都市
- 売れている小説家の名前
などが例に挙げられています。
このトレーニングは、寝る前でも、トイレでも、どこでもできます。
筆者は、「思考法に関する本は、・・・大半は役に立ちません」(p126)と言いきります。
だからこそ、いろいろやってみて、自分に合う方法をつきつめてください、というスタンスです。
これは、私も同意見です。
自分自身の思考を柔軟にしていくためには、類書も含めて、いろいろ読んでみて、自分にピッタリ合う方法を、模索していくしか無いのだと思います。
本書は、このようなスタンスで書かれていることからも分かるように、全体的に余裕があるやり方になっています。
「この方法以外認めない!」というような、きゅうくつな感じはありません。
だからこそ、いろいろなことに応用ができそうです。