すしの本(篠田統)

ライフハック

篠田統著「すしの本」を読みました。

すしの本 (岩波現代文庫)

すしの本 (岩波現代文庫)

篠田 統

岩波書店

2002-11-15


本書は、すし(お寿司)について、その歴史や地域の広がり(日本国内だけでなく一部は海外も)をまとめた本です。

1940年代に出版された、いわゆる名著です。

本書は一般向けに書かれています。

著者の篠田さんも、家族に読んでもらいながら推敲したそうですから、かなり読みやすいと思います。


本書の特徴は、とにかく現場主義ということです。

日本全国のお寿司について、地元の学校でアンケートを取ったり、老舗のお寿司屋さんからインタビューを取ったりしています。

また、歴史については中国の歴史書から読み始め、日本の古典に至るまで調べています。


本書の構成は、以下の通りです。(表記は原文のママ)

第1編 すしの調理学

  1. すしの種類と分布
  2. 馴れずし
  3. 生成(なまなれ)
  4. いずし
  5. 姿ずしと棒ずし
  6. 飯ずし
  7. 握りずし
  8. 散らしずし
  9. 巻きずし
  10. 卯の花ずし
  11. そのほかのすし
  12. すしの材料

第2編 すしの生化学

  1. 馴れずし
  2. 生成

第3編 すしの食物史

  1. 古代シナのすし
  2. 漢・魏・六朝
  3. 隋・唐
  4. 北宋・南宋
  5. 元・明・清
  6. 古代日本のすし
  7. 室町から安土へ
  8. 元禄のころ
  9. 田沼時代前後
  10. 近世のすし

補編 大阪ずし

  • 阿部直吉老人聞き書き(抄)

目次の構成から、3編に分かれていますが、第2編は、さらっと飛ばされる感じなので、実質的には、以下の2つがメインコンテンツです。

  • 第1編の、日本の地域ごとのお寿司の種類
  • 第3編の、中国と日本のお寿司の歴史

お寿司といえば、江戸前の握りずし(酢飯の上に生魚が載ったすし)がまずは思い浮かびます。

が、実際にはもっと種類があります。

わたしの読んだ本は、柴田書店の版ですが、そのp26に系譜図があります。

寿司の系譜

ちなみに、具体的には以下のようなお寿司がある(あった?)ようです。

  • 馴れずし:滋賀県フナずし
  • 生成:和歌山県馴れずし、兵庫県ツナシずし
  • いずし:石川県・加賀蕪ずし、秋田県ハタハタずし
  • 姿ずし・棒ずし:京都サバずし、大阪スズメずし、奈良県・吉野アユずし
  • 卯の花ずし:山口県とうずし、島根県・石見おまんずし
  • 飯ずし:コケラずし、箱ずし
  • 握りずし:江戸前ずし
  • 型入り五目ずし:長崎県大村ずし
  • 五目ずし・散らしずし:岡山県備前ずし
  • 巻きずし:ノリ巻き、コンブ巻き
  • 印籠ずし:稲荷ずし、三重県和歌山県・熊野めばりずし
  • 変わりずし:ソバずし、竹ずし、洋食ずし、などなど

上記は、具体例の一部であり、本書にはもっと多くの事例が紹介されています。

ただし、本書執筆時点(昭和40年代)でさえ、途絶えてしまったお寿司があるようですから、いまもこれらのお寿司が食べられるかは、分かりません。


馴れずしなんて聞いたことありませんでしたが、フナずしのことだったんですね。

生化学的には、魚とお米を嫌気発酵させて乳酸を生み出し、それを食べるのが馴れずしらしいです。

つまり、発酵食品なので、食べごろがあるのですね。

買ってすぐ食べるのと、何時間か置いてから食べるのとでは、おいしさに違いがあるようです。

乳酸だから、もちろん酸っぱいわけですが、酢酸とは、もちろん味が違うんでしょう。

わたしはフナずし食べたことないので、今度食べてみたいです。


江戸前の握りずしについては、しょうゆのつけ方だの、注文の仕方だの、うんちくをたれたがる方々がいます。

本書は、そういう「うんちく」的な本ではありません。

お寿司について、見通しよく全体が見渡せるようになります。

そしておそらく、お寿司に対する見方が大きく変わることでしょう。

ぜひ読んでみてください。

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