【読書】 いい文章で、読者をだきこめ、なめられるな、のせろ

1: 無名の管理人 ID:kanri
板坂元著「考える技術・書く技術」を読みました。
その感想をまとめておきます。


2: 無名の管理人 ID:kanri
ロジカルシンキングについての、同じタイトルの本もありますが、
今回読んだのは、講談社現代新書の1冊です。

3: 無名の管理人 ID:kanri
著者は、江戸文学の研究者で、
1922年生まれで兵役も経験している世代ですが、
研究者として、アメリカに移住しています。
この世代としては珍しい、国際人だったと思われます。

4: 無名の管理人 ID:kanri
その著者が、自分の専門分野にこだわることなく、
考え方と、書き方をまとめたのが、本書です。

5: 無名の管理人 ID:kanri
本書は、8章構成で、
前半(第1章~第5章)が、考える技術で、
後半(第6章以降)が、書く技術になっています。

別の言い方をすれば、
考える技術というのは、発想法のことであり、
書く技術というのは、文章術ということです。

6: 無名の管理人 ID:kanri
以下、目次をまとめておきます。

I. 頭のウォームアップ

  1. 脳のはたらき
  2. 頭を刺戟する
  3. 法則性の発見
  4. 関連づけ

II. 視点

  1. 自分の型を知る
  2. 視点を変える

III. 読書

  1. 反読書的読書法
  2. 頭をほぐす読書
  3. 精読の工夫
  4. 英語を読む

IV. 整理

  1. カード・システム
  2. 文房具
  3. 資料の保存

V. 発想

  1. 醗酵させる知恵
  2. バンカラのすすめ

VI. 説得

  1. 情動にうったえる
  2. 読み手を味方にする
  3. 信頼を生む技術
  4. 文章のリズム

VII. 仕上げ

  1. 型の組立て
  2. 構成の技術
  3. 短文主義
  4. 簡潔さ・わかりやすさ

VIII. まとめ

  1. 誠実であること
  2. 情熱と忍耐

7: 無名の管理人 ID:kanri
正直、本書前半の、「考える技術」の方は、
著者のオリジナリティが、あまり感じられませんでした。

8: 無名の管理人 ID:kanri
第1章の脳のウォームアップについては、
先日読んだ
5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本」にも、
同じことが書かれていました。

もしかしたら、ひきたよしあきさんは、
本書を読んで、参考にしたのかもしれません。

9: 無名の管理人 ID:kanri
また、第4章の整理からは、
川喜田二郎さんの考えたKJ法の応用例が書かれています。
著者オリジナルの部分もあるにはあります。

文房具(カード)の選び方のところなどは、著者オリジナルでしょう。
とはいえ、全体的には、川喜田さんすごいなーと思うような内容でした。

ここで書かれていることは、いずれも、
他の本でも扱っている内容ということでもあり、
わたし個人的には、それほどピンとくる内容はありませんでした。

10: 無名の管理人 ID:kanri
しかし、後半の、「書く技術」の方は、かなり面白かったです。

11: 無名の管理人 ID:kanri
特に、第6章の、発想のところが、著者独特の考え方でした。

もし近くの書店に本書がおいてあったら、
この部分だけでも、立ち読みしてみてください。

12: 無名の管理人 ID:kanri
著者の展開する文章術は、次の3つに要約されます。

  •  だきこめ
  • なめられるな
  • のせろ

13: 無名の管理人 ID:kanri
言葉の選び方が、やや強い感じもしますが、
そのぶん記憶に残りやすいはずです。

わたしなりに、ものすごく簡単に要約すれば、

  • 「だきこめ」とは、読者から対等だと思われること、
  • 「なめられるな」とは、読者から目上の人だと思われること、
  • 「のせろ」とは、読者が自分も動き出したい思わせること、

ということです。

「だきこめ」と「なめられるな」は、一見矛盾する用ですが、
その矛盾も承知の上で、著者は整理しています。

14: 無名の管理人 ID:kanri
このような整理は、たしかにMECEにはなっていません。
もう少し改良の余地があるようにも思います。

ただ、その荒削りなところもまた、著者の独自性であり、
読んでいて、面白いところでもあります。

15: 無名の管理人 ID:kanri
この文章術には、ツッコミどころがあります。
その部分をどう補うかは、著者が読者に示した挑戦状のような気がします。

16: 無名の管理人 ID:kanri
本書の特徴としては、
「書く技術」が、「考える技術」の延長で書かれている点です。

通常、文章術といったときは、「どうやって書くか」が問題になります。

17: 無名の管理人 ID:kanri
しかし、本書は、上記の目次を見ても分かる通り、

  • 脳みそのウォーミングアップから始めて、
  • 考え方を整理したうえで、
  • 書き方へ、進んでいきます。

この流れがあるからこそ、小手先の文章術とは違います。
これこそが、類書に見られないところです。

18: 無名の管理人 ID:kanri
なかなか企画書や、レポートなどを書けなくて、悩んでいる方は、
ぜひ、読んでみてください。