※かじとじむ(当サイト)は、ふだんはネット情報のまとめサイトですが、ときどき管理人が読んだ本をまとめています。読書タグや、ざっくりまとめタグからどうぞ!
今野晴貴著「ヤバい会社の餌食にならないための労働法」を読みました。
本書は、
- 労働問題に対処するNPO法人POSSE代表の著者が、
- パワハラなど、働くときの悩みや問題に対して、
- 具体的に何をすればいいか、どこに相談すればいいか、教えてくれる本です。
===
人間は、まわりの意見に左右されやすい動物です。
なかなか、自分一人の意思を持つことは、難しい。
仕事をやっていれば、職場のひとびとの考え方に流されていきます。
自分だけ残業させられたり、
あきらかなパワハラ・セクハラを受けたりしていても、
まわりにいる人たちがそれを問題にしなかったり、黙認し続ければ、
自分ではそれを、パワハラ・セクハラだと気づかないことがあります。
そんなばかな、と思うかもしれませんが、
残念ながら、そういう人は、一定数います。
逆に言えば、そういう人だからこそ、
しわ寄せを食っているのかもしれません。
本書では、そういった労働問題を抱えている人、
もしくは、労働問題を抱えていることに気づかない人へ向けて、
どうすればそこから脱却できるか、教えてくれます。
===
手帳好きのわたしにとっては、
本書でおすすめされている「しごとダイアリー」が、少し気になりました。
「しごとダイアリー」は、労働問題に詳しい弁護士が監修した日記で、
日記をつけるだけで、もし労働問題が起こったときに、
それが証拠になるような形式になっているそうです。
たとえば、
「○部長に指示されて19時から23時まで▲の残業をした」
みたいなことを書き込むようになっているみたいです。
残念ながら、すでに絶版なのですが、
どんな形式なのか、ちょっと見てみたい気がしました。
===
本書は、労働法の入り口についてまとめた本ですが、
とはいえ、本書の書きぶりは、やや政治的です。
「どのように働くべきか」を超えて、
本書の後半では、「どのような社会であるべきか」についても語られます。
それに同意するひとは、同意すれば良いし、
しない人は、しなくても良いと思います。
これは著者の、政治的立場だからです。
本書を読んだあとには、
一度あなたの身近なひとに(できれば会社外のひとに)
本書の感想を言ってみると良いと思います。
それで、やや中和されることでしょう。
===
本書末尾には、相談先についても書かれています。
本書著者がやっているPOSSEのサイトはこちら、
https://www.npoposse.jp/
日本労働弁護団のサイトはこちら。
http://roudou-bengodan.org/
コミュニティ・ユニオン 全国ネットワークのサイトはこちら。
https://cunn.online/
このほかにも、労働基準監督署(いわゆる、労基)もあります。
労基は、地方ごとにあるので、身近なところにあるか、
調べてみると良いと思います。
===
本書を読んで、
とにかく「気づく」ことが、まずは大事だと思いました。
気づかない、気づいても放置してしまう、
ということでは、労働環境は変わりません。
このままで良いのか?
一度立ち止まって考えてみることも、
大事だと思いました。
もちろん、考えた末に、結果的に、
「このままで良いのだ」という結論になることもあるかもしれません。
それならそれで、安心できます。