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島田裕巳著「仏像鑑賞入門」を読みました。
本書は、
- 宗教学者で、作家の著者が、
- 仏像の鑑賞に興味を持ち始めた人向けに、
- 入門的な内容をまとめた本です。
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宗教学者が書いていますが、
別に、宗教学的な内容が書いてあるわけではありませんでした。
タイトルの通り、入門書的な内容になっていると思います。
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本書では、仏像鑑賞するなら、奈良旅行を勧めています。
3泊4日の日程で、主なスケジュールは、こんな感じです。
1日目:
- 興福寺
- 東大寺
2日目:
- 法隆寺
- 中宮寺
3日目:
- 薬師寺
- 唐招提寺
- 法華寺
- 浄瑠璃寺
4日目:
- 新薬師寺
- 聖林寺
- 飛鳥寺
- 室生寺
上記をひととおり回れば、
和辻哲郎が「古寺巡礼」で見た仏像は、ほぼ網羅できるそうです。
(「ほぼ」というのは、當麻寺が無いから。
とはいえ、當麻寺は仏像よりは曼荼羅などが有名なため、
仏像鑑賞という観点からは省いて良いらしいです。)
また、結構な駆け足になりそうなので、
他の人と一緒にいくのも辞めた方が良いとのことです。
完全に、自分の趣味を満たすためだけの旅行ですね。
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また、本書の最終章には、
奈良だけでなく、全国でぜひ見るべき仏像も書かれているので、
こちらもまとめておきます。
- 中宮寺の、菩薩半跏思惟像
- 観心寺の、如意輪観音像
- 向源寺の、十一面観音像
- 蟹満寺の、釈迦如来像
- 唐招提寺の、如来形立像
- 立石寺の、慈覚大師頭部像
- 国東半島の、熊野摩崖仏
- 円成寺の、大日如来像
- 真野寺の、千手観音像
- 六波羅蜜寺の、空也上人像
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仏像には、「秘仏」というものがあり、
これは、「秘密の仏像」ですから、
常に公開されているわけではありません。
1年に1回だけ公開されるものとか、
ものによっては、60年に一度というものもあるようです。
とはいえ、秘仏だから、それだけ良い物かというと、
必ずしもそうとは限らないようです。
筆者の指摘によれば、
単純に、公開を制限することで、(供給をしぼることで)
需要を喚起しようとしているだけかもしれないからです。
このような指摘を冷静にしているところは、
宗教学者らしい分析だと思いました。
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仏教鑑賞の方法には、
旅行先で実物を見る方法のほかにも、
仏像写真で見るという方法もあります。
とはいえ、筆者はこの方法に対しては懐疑的です。
写真は、仏像をそのまま写す以上に、
写真家の芸術作品として仕上げられていることがあるからです。
お気に入りの仏像に出会うためには、
やっぱり、自分の目で確かめなければならないのでしょう。
本書では、仏像鑑賞旅行がおすすめされています。
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コロナはあるものの、
ある程度感染率の低いうちに、
奈良旅行に行ってみたいものです。
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なお、当ブログでは、仏像関連で、以下の本も読んでいます。
もし時間があれば、あわせて読んでみてください。