【読書】 経済はどこで学んだら良いのだろう? ネットニュースでは分からないらしい

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伊藤元重著「ネットニュースではわからない本当の日本経済入門」を読みました。

ネットニュースではわからない本当の日本経済入門
伊藤 元重
東洋経済新報社
2021-08-20


本書は、

  • アベノミクスの経済再生諮問会議の議員のひとりだった著者が、
  • 近年起こった、経済ニュースを解説しながら、
  • 日本経済を学ぶきっかけとなるように書いた本です。

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著者の置かれた立場を考えれば、
ポジション・トークは当然あるはずですから、
それは差し引いて読むべき本だと思います。

つまり、基本的にアベノミクスを肯定する意見しか
言わないだろうという前提です。

自分が学者人生を賭けて推進したことを、
今になって否定しないと思われるからです。

なので、読み方は慎重に、
考えながら読んでいく必要はあると思います。

とはいえ、
GDPが持つ特徴や、金融政策の限界など、
分かりやすく解説されていますので、
日ごろ、ネットニュースばかり見ている、
わたしのような人間には、
読みやすい本になっていると思いました。

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本書の面白かったところを、いくつか紹介します。

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まず、経済成長を成し遂げるための方法には、
まだ分かっていないところがある、という話です。

潜在成長率 = 労働分配率 × 労働量の増加率 + 資本分配率 × 資本量の増加率 + 全要素生産性

という方程式(成長方程式)が紹介されます。(p60)

で、ここで労働量や資本量、そしてそれぞれの分配率は、
政策によってある程度コントロールできるものらしい、ということです。

ところが、最後の「全要素生産性(TFP)」はブラックボックスで、
何をやればこれが上がるのか、分からないようです。

技術革新があれば、成長率は上がるのですが、
じゃあ、どんな技術革新をすればよいのか、誰にも分らないのです。
(事前にわかったら、計画経済やっているところがいちばん成長するはず)

著者によれば、技術革新が起こるための要素として、
「デジタル」と「グリーン」が有望株のようですが、
これが当たるかどうかは、現時点では分かりません。

結局、いちばん大事なことは分かっていないということですね。

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次に面白かったのは、
日本が抱える財政問題には、大きく3つあるという話です。

  1. 毎年の財政収支が、赤字であること
  2. 過去から続く膨大な額の国債(日本政府の借金)があること
  3. 近い将来、高齢化による社会保障費の増大が確定していること

(p183あたり)

そして、国債を返すことは、たぶん無理っぽい。

じゃあ、どうするか?

ある程度の規模の(2パーセントどころじゃない)インフレが起こって、
実質的な借金が目減りしないといけない、というわけです。

これ、結構すごい話です。
日本円で貯金するのって
なかなかリスク高いってことになってしまいます。

日本経済、これからどうなるのか、目が離せませんね。

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このほかにも、

  • コロナの話、
  • GDPの話、
  • 雇用の話、
  • 経済成長の話、
  • 為替の話、
  • 通貨危機の話

などなど、昨今のニュースの話がちりばめられている本なので、
読んでいて飽きないと思います。

経済がうまくいっていないと、
自分たちの生活に直結してしまいます。

本書は、ポジショントークが一部あるとはいえ、
読みやすく、面白い本だと思いますので、
ぜひ読んでみてください。