【読書】 大企業で管理職まで行ったサラリーマンは、300万円の企業を買った方が良いのか

※かじとじむ(当サイト)は、ふだんはネット情報のまとめサイトですが、ときどき管理人が読んだ本をまとめています。読書タグや、ざっくりまとめタグからどうぞ!


三戸政和著「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」を読みました。



本書は、

  • News Picks系コンサルの著者が、
  • おもに大企業の管理職級のおじさんサラリーマンを対象に
  • 個人M&Aで中小企業を買収することをお勧めする本です。

===

本書の前提として、これから大廃業時代が来る、というという社会背景があります。

中小企業が、後継者が見つからずに、黒字倒産するという時代です。

筆者は、主に

  • 大企業で、
  • マネジメントした経験のある
  • 40代から50代ぐらいのおじさん

をターゲットに、これから買収先の企業を探して、
60歳ぐらいからそこで経営者になってはどうか、とオススメします。

===

しかし、企業を買収するなんて、どうするのか分からない、という方がほとんどだと思います。
「トランビ」などのマッチングサイトがあるようです。

https://www.tranbi.com/buy/list/

たしかに、300万円以下で買える企業はあるようですね。

===

しかし、300万円で買える企業なんて、うさんくさいのでは?
と思うかもしれません。

筆者によれば、大企業で、マネジメント経験があれば、現在赤字でも、大丈夫だそうです。

具体的には、以下のようなことをやれば、黒字化するそうです。
(pp.122-3より)

  1. 在庫を洗い出して整理する
  2. 製品ごとに営業利益を計算する
  3. 赤字の顧客との取引をやめるか、値上げ交渉をする
  4. 不良在庫を処分する
  5. 不採算部門を止める
  6. 帳票をシステム化する
  7. 全仕入れから見積もりを取り直す
  8. 部品の発注ロットを小さくする
  9. 部品の納期を確認し、早い発注を抑える
  10. 在庫の置き場所を最適化する
  11. 運送会社と運賃の交渉をする
  12. ホームページを作り、自社の技術を公開する
  13. 新規の展示会に出展し、PRしてみる
  14. 業務効率化のクラウドを利用する
  15. 新規営業の見込み顧客リストを作ってみる
  16. 見込み顧客へパンフレットを郵送してみる
  17. 見込み顧客への電話をそれぞれ3回ずつしてみる
  18. 名刺管理システムを導入する
  19. 勤怠管理クラウドサービスを使い、社員の生産性を可視化する
  20. 会議を開き、社員の意見を聞き、自分の考えを社員に伝える
  21. 朝礼で、前日と当日の行動管理をする
  22. 週次会議で、先週と今週のPDCA管理をする
  23. 月次、四半期、年度計画を立てて、実行に向けて進捗管理する

これらは、筆者によると
「(大企業でマネジメントをやっていれば、)当たり前に行ってきた簡単なこと」です。
一方で、中小企業はこれらができていないので、赤字になっているらしいのです。
よって、これらのことを行えば、赤字企業が黒字になる、という理屈です。

この部分は、著者はNewsPicks系コンサルであることを念頭に、
信じるか信じないかはあなた次第です。

===

また、実際に買収するときの注意事項も書かれています。
(pp.179-80)

  • 帳簿に書かれていない負債(簿外負債)はないか
  • 保有資産は、実態価格を反映しているか
  • 改修できそうにない売掛金はないか
  • 在庫はきちんと帳簿通りに存在するのか、不良在庫ではないか
  • 土地建物の権利関係、賃貸関係は、法的に担保されているのか
  • 法令違反または不正な会計はしていないか
  • 係争中の事案はないか
  • クライアントとの関係は良好か
  • 仕入れ先との関係は良好か
  • 金融機関との関係は良好か
  • 従業員との関係は良好か
  • 従業員に残業代を含む給料をきちんと支払っているか
  • 社会保障制度にはすべて加入しているか

実際に、企業を買う場面になったら、ほんとうに様々なことを留意しないといけなくなるでしょう。
それらのことに詳しい弁護士と公認会計士に、きちんと依頼しないといけないようです。

===

しかし、経営者になるためのルートが、自分で起業する、親の事業を承継する、以外にも選択肢が出てきているというのは良いことだろうと思いました。

「#個人ma」などのハッシュタグで、ツイッターを眺めると、
経営者らしきひとびとが、いろいろつぶやいているのが読めます。

現状では、良い案件はあまりマッチングサイトに出てこないようですので、
それなりに距離を置きつつ、定期的にチェックするのが良いのかもしれません。