【読書】 お前らのやってるブルシット・ジョブをさらしてけ

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デヴィッド・グレーバー著「ブルシット・ジョブ」読みました。

ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論
デヴィッド グレーバー
岩波書店
2020-12-24


本書は、人類学者で活動家の著者が、
今の労働に対して問題提起している本です。

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正直、難しいところもあって、全部をきちんと読めた気はしないのですが、
でも、いい本だったと思うので、なにか感想を残しておきたいと思いました。

今回は、まとめサイトっぽく、本書の内容を引用してみます。
面白かったところ、全体的な感想は、また別にまとめる予定です。

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1: ビル
建物のドアマンです。
わたしの勤務時間はおよそ、マンションの住人がロビーを通るたびにあいさつして、正面玄関の開閉ボタンを押すことですぎていきました。
わたしが管理者から聞いた話では、もしわたしがまにあわずにボタンを押し損ねたとしても、住人は自分の手でドアを開けるだろうね、とのことでした。(p53)

2: ゲルテ
2010年にオランダの出版社で、受付嬢として働いていました。
そこの電話が鳴るのは、たぶん日に1度あるかどうかでした。なので、わたしには別の仕事が2つ3つあてがわれていました。

  • キャンディのお皿にミントキャンディを補充すること(ミントキャンディは、会社にいるだれかほかの方々が買い置きしてくれています。わたしはただ、引き出しからキャンディをひっつかんで、隣の皿に放るだけでした)。
  • 週に一度、会議室に行って柱時計のネジを巻くこと(この仕事は、実はけっこう苦痛でした。なんでかというと、もしわたしが忘れたり遅れたりしておもりが落ちようものなら、わたしがその柱時計を修理しろといわれていたからです)。
  • いちばん時間を費やした仕事といえば、もうひとりの受付嬢からの化粧品のセールスをなんとかあしらうことでした。(pp53-4)

3: スティーブ
わたしは卒業したばかりなのですが、あたらしい「仕事」は、基本的にはこういう仕事でなりたっています。
上司が「スティーブ、下記のメール内容を確認してくれ」というメッセージといっしょにメールを転送してきます。するとわたしは、そのメールはどうでもいいものですよとか、どうみてもスパムメールですよと返信するのです。(p58)

4: トム
わたしはロンドンに設置されたアメリカ人所有の巨大な映像制作会社で仕事しています。
最近は、顧客のなかに広告代理店の割合が増えています。それらの企業は、シャンプーやら、歯磨き粉やら、保湿クリーム、洗剤なんかの、有名ブランド製品の広告をもってきます。そして、われわれは視覚効果のトリックを使って、それらの製品が実際に効き目があるようにみせかけます。
わたしは、この仕事で年間10万ポンドの収入を得ています。(p63)

5: トム
>>4
価値のある仕事とは、あらかじめ存在している必要性に応えたり、ひとが考えたことも無い製品やサービスをつくりだして、生活の向上や改善に資するような仕事ではないでしょうか。
いまとなっては、ほとんどの産業では供給が需要をはるかに上回っていて、それゆえ、いまや需要が人工的につくりだされるのです。わたしの仕事は、需要を捏造し、そして商品の効能を誇張してその需要にうってつけであるようにみせることです。(p64)

6: 無名し
おとり商法ってやつです。
はじめに「無料の」サービスを提供し、そこから手続きを完了してウェブサイトで獲得したものを入手するためには、1.95ドルで二週間のトライアルが必要だと提示します。
そして、さらに自動更新の月額サービスを契約させるのですが、それには10倍の金額がかかるのです。(p65)

7: マグダ
わたしは以前、中小規模の会社で働いていて、そこで「テスター」をやっていました。
わたしに要求されたのは、その会社の花形気取りの統計調査員が作成した報告書の校正でした。 その男性は統計のイロハも知らず、文法的に正しい文章を書くのにも必死でした。わたしの仕事は、かれが報告書を提出するたびに説得して、大幅な修正を了承してもらうことでした。もちろん、かれはどんな訂正にも全然同意してくれず、修正は手つかずのままでしたが、わたしがその報告書を会社の取締役まで提出しなければなりませんでした。
その人びとは取締役ではありましたが、やはり統計については無知だったので、事態はいっそう泥沼にはまります。(p68)

8: 無名し
わたしの仕事は、国営油井の情報を、さっきまでそれが記入されていたのとは別のノート一式に複写することです。(p70)

9: ベッツィー
わたしの仕事のほとんどは、利用者の方に面会して、みなさんの希望をリスト化したレクリエーション書類を作成することでした。
その書類はコンピューターに情報が記録されると、即座に永久に忘れ去られました。なんらかの理由があって、その書類は紙の形式としても保存され、バインダーに綴じられました。上司の目には、その書類の仕上げは、わたしの仕事のうちでなによりも重要な職務であるらしく、作業が遅れようものなら大目玉をくらいました。(p73)

10: ライラ
わたしは、連邦政府の規制である海外腐敗行為防止法によって生まれた成長産業で働いています。
基本的にアメリカの会社は、デューデリジェンスを実施して、不正をはたらく海外企業と取引していないことを確認しなければなりません。顧客は大会社で、中国のような地域を供給先や提携先とする子会社をごちゃごちゃ有しています。わが社は、顧客となる方々にデューデリジェンス報告書を作成しています。それは基本的に、インターネットで一時間から二時間程度調べたものが、報告書の体でまとめられたものです。
報告書のつじつまがあっているようにみせかけるために、専門用語をたくさん散りばめたり、文章の体裁をいい感じに整えたりします。(p74)

11: ベン
わたしの下で10人の部下が働いていますが、いわせてもらえば、わたしの監督がなくとも、部下たちはすべての仕事をまわすことができるのです。
わたしは、ただ昇進によってこの仕事に就いたにすぎず、職場を見回ったり、わたしがやるはずの仕事はないかやきもきしたりして、ほとんどの時間をすごしています。(p80)

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今回は、ブルシット・ジョブの具体例の紹介をしました。

本書を読めば、上記に引用しただけでなく、
もっと多くの事例が、紹介されていきます。

著者が解説しながら事例を紹介してくれるので、
迷子になることも無いと思います。

ぜひ読んでみてください。

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2記事目書きました。

社会問題一般について、どうして意見が食い違うのか、という部分をまとめています。

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