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佐藤健太郎著「炭素文明論」を読みました。
本書は、
- 元製薬会社で、サイエンスライターの著者が、
- 炭素の化合物の解説をしながら、
- 世界史への理解が深まる本です。
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以前読んだ「有機化学超入門」で、
本書がオススメされていたので読んでみました。
ストーリーが分かりやすく、面白かったです。
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タイトルは地味ですが、本書こそ「世界史は化学でできている」というタイトルの本だと思いました。
左巻さんは、本書のような本を書きたかったのではないでしょうか。
むしろ、こっちを読んだ方が良いように思いました。
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本書は、「炭素」に注目します。
このため、有機化学に関する解説です。
(例外として、アンモニアNH4が扱われる章は1章あります)
目次から抜粋します。
第1章 文明社会を作った物質 デンプン
第2章 人類が落ちた「甘い罠」 砂糖
第3章 大航海時代を生んだ香り 芳香族化合物
第4章 世界を二分した「うま味」論争 グルタミン酸
第5章 世界を制した合法ドラッグ ニコチン
第6章 歴史を興奮させた物質 カフェイン
第7章 「天才物質」は存在するか 尿酸
第8章 人類最大の友となった物質 エタノール
第9章 王朝を吹き飛ばした物質 ニトロ
第10章 空気から生まれたパンと爆薬 アンモニア
第11章 史上最強のエネルギー 石油
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たとえば、第7章の「天才物質」というのは、
過去の英雄たち(アレクサンダー大王とか、フビライ・ハンとか)が、
痛風に苦しんだというエピソードが紹介されます。
痛風は、尿酸値が高いことが原因ですから、
尿酸値が高いことが原因で、天才的な能力を発揮するとすれば、
なかなか面白い発見です。
もちろん、因果関係は逆かもしれないわけです。
(もともと天才だったから、お金を手に入れて、ぜいたくな尿酸値の高い生活習慣になって、結果痛風になった)
ここで紹介される天才は、そうそうたるメンツです。
- オリヴァー・クロムウェル、
- コジモ、ピエロ、ロレンツォ・メディチ、
- ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、
- ダンテ、ゲーテ、スタンダール、モーパッサン、ミルトン、
- ベーコン、ニュートン、ダーウィン、
- ルター、
- フランクリン、チャーチル、
みんな、痛風に苦しんだんですね・・・。
尿酸と天才にどのような相関があるのか、本書では答えは出ませんが、
突き詰めてみると面白そうだと思いました。
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本書では他にも、
- 古代中国がどうして定期的に戦乱を繰り返したのか、
- アヘン戦争前、イギリスはどうして中国にアヘンを売っていたのか、
- 薩摩藩がどうして幕末にあれほど力をつけていたのか、
- ハーバー・ボッシュ法がノーベル賞2回分の快挙なのは何故か、
などなど、面白い謎がいろいろと解説されていきます。
気になった方は、ぜひ読んでみてください。