【読書】 地形の思想史

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原武史著「地形の思想史」を読みました。

地形の思想史
原 武史
KADOKAWA
2019-12-20


本書は、

  • 日本政治史について、多数出版してきた著者が、
  • 皇太子一家、民権運動家、革命家、ハンセン病患者などのゆかりの地を旅行し、
  • 現地での体験をエッセイにしたものです。

本書はもともと、「本の旅人」という雑誌連載がもとになっており、
エッセイのような、旅行記のような、聖地巡礼のような、
それらを合わせたような内容になっています。

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目次を抜粋しておきます。

第1景 「岬」とファミリー

第2景 「峠」と革命

第3景 「島」と隔離

第4景 「麓」と宗教

第5景 「湾」と伝説

第6景 「台」と軍隊

第7景 「半島」と政治

もう少し具体的には、

  • 第1景では、静岡県の奥浜名湖にあるプリンス「岬」
  • 第2景では、東京都から山梨県にかけての大菩薩「峠」
  • 第3景では、岡山県と広島県の長「島」と似「島」
  • 第4景では、山梨県と静岡県にまたがる富士山「麓」
  • 第5景では、神奈川県と千葉県にはさまれた東京「湾」
  • 第6景では、神奈川県の相武「台」
  • 第7景では、鹿児島県の大隅「半島」

などなどが、それぞれ取り上げられています。

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本書が執筆されているのはコロナ前なので、
日本のいろいろなところへ取材旅行できています。

コロナが、今後どうなるのか分かりませんが、
これからはこういった本が書きにくくなっていくのでしょうかね。
よく分かりませんが。

本書に似ている本としては、
たとえば鈴木博之著「東京の地霊」などを思い出しました。

鈴木さんが「地霊(ゲニウスロキ)」と呼んでいるようなものが、
原さんでは「地形」として書かれているものなのでしょう。

わたしはあまり詳しくありませんが、
他にも似たようなスタンスの本は見つかると思います。

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内容としては、原さんらしく、
鉄道の話あり、天皇家の話あり、思想の話あり、といった感じです。

どの章も、きれいにまとまっていますから、
読みやすいのではないかと思いました。

もし本書を読んで面白いと思われた方には、さらに、
「滝山コミューン」か、

滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)
原 武史
講談社
2010-06-15


「皇居前広場」をお勧めします。

完本 皇居前広場 (文春学藝ライブラリー)
原 武史
文藝春秋
2014-10-17


上記2冊とも、ある土地と、そこのまわりで生きる人間について書かれた本です。

本書を面白いと思った方には、とくにお勧めできる本なので、
ぜひ読んでみてください。

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