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原武史著「地形の思想史」を読みました。
本書は、
- 日本政治史について、多数出版してきた著者が、
- 皇太子一家、民権運動家、革命家、ハンセン病患者などのゆかりの地を旅行し、
- 現地での体験をエッセイにしたものです。
本書はもともと、「本の旅人」という雑誌連載がもとになっており、
エッセイのような、旅行記のような、聖地巡礼のような、
それらを合わせたような内容になっています。
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目次を抜粋しておきます。
第1景 「岬」とファミリー
第2景 「峠」と革命
第3景 「島」と隔離
第4景 「麓」と宗教
第5景 「湾」と伝説
第6景 「台」と軍隊
第7景 「半島」と政治
もう少し具体的には、
- 第1景では、静岡県の奥浜名湖にあるプリンス「岬」
- 第2景では、東京都から山梨県にかけての大菩薩「峠」
- 第3景では、岡山県と広島県の長「島」と似「島」
- 第4景では、山梨県と静岡県にまたがる富士山「麓」
- 第5景では、神奈川県と千葉県にはさまれた東京「湾」
- 第6景では、神奈川県の相武「台」
- 第7景では、鹿児島県の大隅「半島」
などなどが、それぞれ取り上げられています。
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本書が執筆されているのはコロナ前なので、
日本のいろいろなところへ取材旅行できています。
コロナが、今後どうなるのか分かりませんが、
これからはこういった本が書きにくくなっていくのでしょうかね。
よく分かりませんが。
本書に似ている本としては、
たとえば鈴木博之著「東京の地霊」などを思い出しました。
鈴木さんが「地霊(ゲニウスロキ)」と呼んでいるようなものが、
原さんでは「地形」として書かれているものなのでしょう。
わたしはあまり詳しくありませんが、
他にも似たようなスタンスの本は見つかると思います。
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内容としては、原さんらしく、
鉄道の話あり、天皇家の話あり、思想の話あり、といった感じです。
どの章も、きれいにまとまっていますから、
読みやすいのではないかと思いました。
もし本書を読んで面白いと思われた方には、さらに、
「滝山コミューン」か、
「皇居前広場」をお勧めします。
上記2冊とも、ある土地と、そこのまわりで生きる人間について書かれた本です。
本書を面白いと思った方には、とくにお勧めできる本なので、
ぜひ読んでみてください。
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