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カル・ニューポート著「デジタル・ミニマリスト スマホに依存しない生き方」を読みました。
本書は、
- コンピュータサイエンスの学者である著者が、
- スマホ依存の弊害を整理して、
- 依存からの脱出方法を具体的に示した本です。
著者は、スマホ依存は深刻であり、
ライフハックや、デジタル・デトックスでは間に合わない
と警鐘を鳴らします。
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本書によれば、
スマホはスロットマシンのようなもの
です。
気がついたらスクリーンを見てしまって、
なにか「当たり」の情報に出会えれば興奮します。
当たりが出るかどうかはランダムであり、
いつか当たりに出会えないかと、
何度もスマホを起動してしまうわけです。
それはまるで、自分がスマホを使っているのではなく、
スマホの情報に合わせて自分の行動が決まってしまっている
かのような、気持ち悪い感覚です。
まさに依存症です。
===
この問題が根が深いのは、
スマホのアプリ(フェイスブックなど)を作っている企業が、
何億ドルもかけて、この依存症を作り上げようとしている
ということです。
自分のアプリへの滞在時間が長ければ長いほど、
広告効果が上がるため、お金になります。
何度でも、アクセスしたくなってしまうような工夫が、
コンピュータサイエンスや心理学の最新技術で施されています。
このような誘惑に、簡単に勝てるわけがないのは、
当たり前といえば当たり前なのです。
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では、このような依存症から脱却するために、どうしたらよいのか?
著者の提案は、「デジタル・ミニマリストになること」です。
デジタル・ミニマリストの定義は、pp70-1に書かれている通りですが、
まあ、ちょっと堅苦しいので、簡単に言うと、
- 生産的な趣味を見つけておきます。
- 一度すべてのアプリをデトックスします。
- そして、30日間で依存状態から抜けたあとで、
- 本当に必要なアプリだけ、厳格なルールのもとに戻します。
この「デジタル片付け」ですが、
内容的に、こんまりさんの「片づけは祭りだ」
という主張に近い気がしました。
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こんまりさんの主張を知らない方も多いと思うので、
わたしなりにざっくり整理すると、
- ときめくものを見つけておき、
- ときめかないものは、全捨てが基本です。
- 片づけは祭りのようなもので、一度にやります。
- 祭りの片づけが終わったら、リバウンドしません。
といった特徴があります。
空間における「ときめくもの」とは、
まさに時間における「生産的な趣味の時間」です。
このために、それ以外の、ときめかないものをすべて捨てよう、
という提案です。
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本書に類似した主張は、これまでもいくつかあったと思います。
最近読んできたなかでは、
「時間術大全」とか、
「ニュース・ダイエット」がそうです。
本書が、これらの本と大きく違うのは、
- ライフハックではなく、
- デトックスでもなく、
- あくまでも、デジタル・ミニマリストなんだ。
ということです。
デトックスを何度も繰り返すのは、
何度も、部屋を散らかして、そのたびに片づけを繰り返すようなものです。
あるいは、禁酒や禁煙に、何度も失敗するようなものです。
依存症の場合、何度も失敗していると、
無力感にさいなまれることもあります。
しかしデジタル・ミニマリストは、リバウンドしません。
詳しくは本書で書かれた様々な方法によるのですが、
しないような工夫が、凝らされているからです。
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以下、目次から抜粋します。
Part 1 基礎
- スマホ依存の正体
- デジタル・ミニマリズム
- デジタル片付け
Part 2 演習
- 一人で過ごす時間を持とう
- “いいね” をしない
- 趣味を取り戻そう
- SNSアプリを全部消そう
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上記の目次の通り、本書は、パート1と2に分かれています。
パート1が基礎編です。
スマホ依存の問題点を整理して、何らかの対策を取らないと、
スマホに自分の人生の主導権を取られてしまう、
という危機感を共有するための部分です。
パート2は、演習編です。
スマホ依存がヤバイということに同意できたとして、
じゃあ、具体的に何からすればよいのか? が書かれます。
演習として、
- スマートフォンを置いて外に出よう
- 自分に手紙を書こう
- “いいね” をしない
- テキストメッセージはまとめて処理しよう
- 営業時間を設けよう
- 週に何か1つ、修理するか作るかしてみよう
- 余暇の活動計画を立てよう
- スマホからソーシャルメディアを削除しよう
- デバイスをシングルタスクな道具に戻そう
- スローメディアを活用しよう
- フィーチャーフォンに戻そう
などがあります。
なお、上記の
- 自分に手紙を書こう
は、手帳術のようなことが書かれており、
手帳好きの方には、なかなか面白い内容になっていると思いました
。
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ミニマリストというと、
部屋をがらんとさせることばかりが注目されますが、
時間のミニマリストを検討していくと、
脱スマホになるのでしょう。
本書を読んでみて、面白いなと思ったら、
ぜひとも、試してみていただきたいと思います。
おそらく、本書の内容を試すときには、
当サイトのようなまとめサイトは、
真っ先に整理される運命かもしれません。
なのでまとめサイト管理人が本書をお勧めするのは
理屈では変なのかもしれませんが、
まあ、細かいことは置いておいて、
面白い本だったので、ぜひ試してみていただきたいです。
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