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筒井功著「ウナギと日本人」を読みました。
本書は、
- もともと新聞記者だった著者が、
- おもに戦後以降のウナギの養殖と消費についてまとめた本です。
元新聞記者のわりには、文章はうまくないです。
とくに本書の冒頭で、「これは後で述べる」が頻発して、
論文みたいな書き方になってしまっています。
もしかしたら、伏線として書いているということかもしれません。
が、うまくいってないような気もします。
とはいえ、そうったことを差し引いても、
世界のうなぎの7割を消費している日本人にとって、
本書は読んでおくと良い本だと思いました。
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目次から、抜粋しておきます。
第1章 闇夜の水辺で、お札をすくう
- 胸までのゴム長靴で冬の川へ
- 一晩で月給の5倍を稼ぐ
- 密猟をなくすのは容易ではない
第2章 ウナギ養殖の歴史
- 静岡県浜名湖畔で事業化される
- 第二次大戦後のウナギ養殖
- 静岡県養鰻業の衰退
第3章 養殖業は、ばくちに近い
- 1つの集落に17業者
- 1000万円を懐に徳島へ
- 台湾とシラスを奪い合う
- 中国、台湾にとって替わる
- シラスの高騰で廃業
第4章 天然ウナギの話
- 天然ウナギの漁法
- 漁獲量統計について
第5章 ウナギのけなげな一生
- 数千キロかなたの太平洋で産卵
- ウナギの滝登り
- 海で暮らすウナギもいる
第6章 ウナギをめぐる信仰と民俗
- 信仰上、食べない人びとがいる
- 三島神社とウナギ禁食
- ウナギの民話
第7章 食文化の中のウナギ
- スタミナ食であった
- 蒲焼きの起源
- 外国のウナギ料理
第8章 ニホンウナギのこれから
- 統計間の不一致
- なぜ実態を把握しにくいか
- レッドリストへの記載
- どんな保護策が可能か
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いちばん面白かったのは、民俗の部分です。
- ウナギを食べない集落があったり、
- ウナギが地名(川や池の名前)になっていたり、
- 人名になっていたりします。
それほど、日本人の生活にウナギが密着していたということなのでしょう。
そういえば、お笑いコンビの銀シャリに鰻さんいますね。
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ウナギといえば、高級品という時代がありました。
いまでも、うな重5000円で提供しているようなお店もあります。
とはいえ、牛丼屋チェーンでウナギが食べられるようにもなりました。
食べられなければ、食べなくても良い「ごちそう」だったはずのウナギが、
どうしてこんなにも大量に流通するようになったのか。
その裏では、海外からの大量輸入があったり、
規制と密輸のバランスがあったりします。
理屈だけではうまくいかない、市場の限界が見えてきます。
土用の丑の日に浮かれているばかりではいられないような気がしてきます。
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